3月11日羽田空港発の全日空のポケモン・EEVEEジェットに搭乗してロンドンに到着しました。今回はKing’s Cross駅近くのホテルにまず2泊。時差9時間で長い長い3月11日の夕刻、眠さに空腹が勝ちぶらぶらと出歩いてきましたが、まず否が応でも感じたのは物価の高さでした。
英ポンドに対して安い日本円。さらにインフレの差もあってスーパーマーケットでは500mlコーラが500円、飲料水は360円というところ。サラダ1パック(コンビニサラダの少し大きめ)が1100円くらい、バーガーキングのセットが2000円くらい。もちろんヨーロッパの他の国やアメリカも同様かそれ以上なんですね。
とにかく世界はこんな感じです。急激な食糧価格の上昇と騒ぎますが日本はまだまだ物価が安いです。そういう意味で日本は取り残されてますが、所得が増えて行くしかこの埋め合わせはできないですね。
そんなことを感じながら翌日はロンドンを離れ列車で北方面へ。この日は楽器の買い付けでしたが、楽器、弓ともに価格はコロナ前からすると2倍くらいに感じました。今回の仕入れは、それでもまとまった数によってかなり割安におさまったと思います。なんとか日本市場で値上げせずに対応ができそうで一安心ですが、労力を惜しまず努力で価格を抑えられるのは直接買い付け直輸入ならではの為せる技です。
夜はロンドンに戻りRoyal Philharmonic Orchestra (ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団)の公演をCadogan Hall へ聴きに行って参りました。今晩の公演はビゼーのカルメン・シンフォニー他、ロッシーニ、チャイコフスキーのオペラにまつわる作品の演奏と、女流チェリストAnastasia Kobekina のソロでチャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」という聴きごたえあるプログラムでした。指揮はこれまた女流指揮者のStephanie Childress. ロンドンの地元オーケストラとして君臨する「親しまれる交響楽団」をコンセプトにしているだけあって、聴衆との結びつきをホールで感じてしまうほど。観客は厳かにクラシックを聴きに行く雰囲気ではなく、それこそ「推し」に拍手喝采を贈り、声援と口笛が飛び交い、演者は会場に手を振り、投げキッスをしたり。「撮影はご遠慮ください!」というのもなく、流石に演奏中に撮る人はいませんが、普通に写真撮影していますし(私もですが)、ビール飲みながら聴いてる人もいました。プログラムに先立ち、クラリネットの若い女性奏者がマイクを持っての挨拶に始まり、曲の聴きどころ、メロディーラインの楽器から別の楽器への移り変わりの解説をユーモアたっぷりしていて、オーケストラの演奏会でこういうのはあまりないなあと感心してしまいました。そして聴衆の聴き入る雰囲気がまるで違うと思いました。自然体というか、まるで寄席にくるような感覚で純粋に楽しみに来ているかのようでした。年齢層もさまざま。老齢の方が多いには多いですが、日本ほどではありません。本来、老若男女楽しめるエンターテイメントなはずですが、やはり日本は音楽についての学校教育に問題があるのかもしれませんね。もともと西洋の文化であるものを理解しづらいというのはあるのでしょうが、仕事上、関わりのある身からすると、もう少しクラシック音楽を聴くというハードルが下がるといいなと常々思っています。色々、演奏家の方々は工夫されてはいますが、いずれにしても地道な努力しかないでしょうね。
そして、翌日は一旦ロンドンを離れ、列車で田舎町にあるオークションハウスへ。1泊でプレビューとオークションに参加しましたが、昔ながらのローカルオークションもなかなか楽しいものです。数はそれなりに出てはいましたが、日本の市場で紹介できそうにないものも数多く、その中にあるわずかな良品を見つけ出すという醍醐味があります。勿論日本人参加者は誰もいませんし、競合もなく予想以上に欲しいものがすんなりと入手できました。
今回のイギリスで仕入れたヴァイオリン、チェロ、各種弓は入荷後4月上旬からセッティング準備にかかっていきます。また皆様にお試しいただく機会を楽しみにしています。
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